Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
確かに、みのりに生徒扱いされたくないと思っているのに、自分が「先生」と呼ぶのは変かもしれない。
でも、だったら、何と呼んだらいいのだろう?
自分の中でみのりは〝彼女〟だと定義づけているわけだから、苗字で呼ぶのは他人行儀な感じがして不自然だ。だからと言って、二俣のように「みのりちゃん」と呼ぶのも、あまりにも馴れ馴れしくて抵抗がある。呼び捨てにするなんて、もっての外だし、それだったら、みのりの親友の澄子のように、「みのりさん」と呼ぶしかないのだが…。
「俺、今は…、先生のことを『先生』としか呼べません…。」
みのりが意外な顔をして、無言で遼太郎を凝視する。その顔をチラリと確認して、遼太郎は自分の本当の気持ちを説明しなければならない必要に駆られた。
「…もちろん!先生のことを『先生』以上に思えない、という意味じゃありません。」
みのりの中に不安が沈殿する前に、すかさず遼太郎はその不安をすくい取った。
「何ていうか…、先生が俺の先生だったことを忘れたくないんです。先生は先生なのに、生徒だった俺のことを…『好き』って言ってくれたことを、忘れたくないから…。」
頭の中で整理された考えではなく、自分の中の想いをそのまま隠さず言葉にしたら、そう言っていた。