Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「なあに?もしかして、あんた。さっきの人と張り合ってんの?」
愛の言わんとしていることを理解した瞬間、俊次の顔が真っ赤になる。
「ばっ…!バカ言うな!!なんで俺が…!!」
「バカなのはそっちよ。あんたみたいなヒヨッコが、あんな大人のイケメンと張り合っても虚しいだけじゃない。」
「なに、勝手に決めつけてんだよ?!ええっ?!」
俊次は顔から湯気が立ち上がらんばかりに、憤慨している。怒るところを見ると、愛の指摘したことは図星だったようだ。
災難が降りかかる前に、愛は肩をすくめて、俊次の側から走って逃げ出した。
校門前の道路を渡り、第2グラウンドの入口で愛は振り返り、口の横に手を当てて俊次に向かって叫ぶ。
「みのりちゃんに気に入ってもらいたいんなら、ラグビー頑張って、もっとオトコを磨きなよ。」
踵を返して部室の方に駆けていく愛を、不穏な目つきで見据えながら、俊次はつぶやいた。
「…くそ―…。言われなくても、頑張ってやるよ。今に見てろ…!!」
第2グラウンドの入口に植えられている桜も、初々しい葉っぱが覗き始めている。咲き遅れた花のひとひらの花びらが、若葉を渡った爽やかな風に巻きあげられ、まだ真新しい俊次の学生服の肩に舞い降りた。
けれども、俊次はそれには気づかずに、ゴールポストの立つ第2グラウンドへの道を踏みしめた。
遼太郎がかつて、毎日そうしてきたように――。