Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



 遼太郎はそう道子の気持ちを推測したが、道子はそれに対してチラリと遼太郎を一瞥しただけで何も答えなかった。

 道子の遼太郎の対する感情は、『好きではない』と断言するには、極めて曖昧で微妙すぎた。


 道子が何も自分の考えを吐露してくれないので、遼太郎は唇を噛んだ後に、思い切って核心に触れることを質問した。


「どうして、先輩は好きでもない相手とも、やりたいって思うんですか?どうして、そんなにまで、それをすることにこだわるんですか?」


 それは遼太郎自身のことだけではない。道子がこれまで関係を持ってきた、おそらく本名さえ知らない男たちとのことを指していた。
 遼太郎には、好きでもない男に触れられる道子の感覚が到底理解できなかった。


 核心を衝かれて、道子はもう遼太郎から目を逸らせておけなくなった。細い目が光って、じっと遼太郎を見つめ返す。
 道子にとってそれを繰り返す理由は、そう簡単に、遼太郎が理解できるように説明できるものではなかった。

 すると反対に、遼太郎が自分の思いを語り始めた。


「……男だって、…少なくとも俺は、好きな人だからこそ抱きたいって思うんです。好きな人に対する想いを、抱きしめたりキスしたり…そうやって表現したいって思うんです。…だから、好きじゃない人とどうしてそれが出来るのか、それが解らないんです。」


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