Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
遼太郎は、街角で目に付いたコーヒーショップに足を踏み入れた。ここなら人目もあり、道子から迫られることもない。道路に面した落ち着ける場所を確保できたので、きちんと話もできる。
「……先輩は、何を飲みますか?」
不機嫌そうな低い声で、遼太郎が道子に訊く。
「……ラテを。」
道子が短く答えると、遼太郎は頷いてレジへと向かった。
しばらくして遼太郎は両手にそれぞれカップを持って戻り、座って待っていた道子の前に一つを置く。
「…あ、ありがと。」
横柄な道子が殊勝にお礼を言ったにもかかわらず、遼太郎は今度は頷きもせず、ドカッと道子の向かいの椅子に腰かけた。
道子がカフェラテをゆっくりと飲みあげる間、二人の間には沈黙が漂った。
遼太郎は難しい表情をして道子から顔を逸らし、自分が注文した飲み物をすすりながら、何も発しようとしない。
もともと無愛想な上に、先ほど渾身の誘惑を無視されたこともあって、道子も自分から話題を持ち出そうとはしない。
この気まずい雰囲気に耐えかねて、道子が帰ってしまおうかと思い始めた頃、ようやく遼太郎が口を開いた。
「……俺、一応『彼氏』にはなってますけど、まだ…知り合って間もないし、亀山先輩だって、俺のことを好きではないはずです。」