Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



 みのりの思考は、〝遼太郎〟という漠然とした異空間をしばし漂い、ふと目の前で繰り広げられている戦いに戻ってくる。

 雪が舞い散る厳しい寒さの中、湯気が立ち上がらんばかりに汗をかき、闘う俊次の姿を見て、みのりは目が覚めた気がした。


 今、自分がしなければならないことは、――応援だ。


「俊次くん――っ!!ナイスタックル!!」


 よく通るみのりの声が、俊次にも届いたのだろう。
 タックル後にボールが蹴り出され、ラインアウトに向かう俊次が、みのりの方へチラリと視線を向けた。

 こんな時、遼太郎ならばニコリと笑いかけてくれていたのだが、俊次はあくまでもポーカーフェイス。澄ました顔をして、目の前を駆けていく。

 しかし、それからの俊次はギアを入れ替え、エンジンをフル稼働させた。その体の大きさを感じさせない運動能力を発揮し、後半はトライを2つ決める大活躍で、芳野高校を勝利へと導いた。


 ラグビーファンを自負するみのりも、この試合の展開に寒さも忘れて熱狂した。同じく応援に来ていた保護者と一緒になって、寒さで消耗し足取りが重くなった選手たちを励まし続けた。


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