Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「…私はね。結婚しようなんて思ってないけど、…好きな人はいるのよ。」
その意味深な言葉と、その深い哀しみを湛えたような眼差しと。
古庄の胸がドキンと反応して、何と言えばいいのか分からなくなる。
しかし、そんな哀しみを帯びた雰囲気を払しょくするように、古庄は敢えて明るい声を出した。
「へえ?ねえさんが好きになる人って、どんな人なんだろうな。」
古庄につられて、みのりもほのかな笑みを浮かべる。
「そうねぇ。その人も、……ラガーマンだったわ…。」
元ラガーマンの古庄も、それを聞いておどけてみせた。
「お!そりゃ、いい男に違いない。」
「そりゃ、もちろん、いい男に決まってるじゃない。」
と、みのりの笑顔はもっと明るく輝いたが、それ以上その〝いい男〟について語ろうとはしなかった。