Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



「…私はね。結婚しようなんて思ってないけど、…好きな人はいるのよ。」


 その意味深な言葉と、その深い哀しみを湛えたような眼差しと。

 古庄の胸がドキンと反応して、何と言えばいいのか分からなくなる。


 しかし、そんな哀しみを帯びた雰囲気を払しょくするように、古庄は敢えて明るい声を出した。


「へえ?ねえさんが好きになる人って、どんな人なんだろうな。」


 古庄につられて、みのりもほのかな笑みを浮かべる。


「そうねぇ。その人も、……ラガーマンだったわ…。」


元ラガーマンの古庄も、それを聞いておどけてみせた。


「お!そりゃ、いい男に違いない。」

「そりゃ、もちろん、いい男に決まってるじゃない。」


と、みのりの笑顔はもっと明るく輝いたが、それ以上その〝いい男〟について語ろうとはしなかった。





< 415 / 775 >

この作品をシェア

pagetop