Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



――…また、逃げてしまった……。


 そのことを自覚すると、またみのりの目から一筋の涙がこぼれて落ちた。



 夜になり、なんとか自分のアパートの部屋にたどり着いても、みのりは何も手につかず、ただほんやりと暗い部屋の中の窓辺にたたずんだ。

 今日の衝撃があまりにも大きくて、こうやって何も考えず、静かに自分を取り戻す時間が必要だった。


 その時、みのりの携帯電話のメールの着信音が鳴る。机の上に置いていたバッグから携帯を取り出してみると、二俣の名前が表示されていた。

 ようやく落ち着きつつあったみのりの心臓が、再び不穏に脈打ち始める。今日のこともあって、そのメールをどうするべきか迷ったが、


『逃げるなよ……!』


二俣の言葉がみのりの頭の中に響き渡った。大きく息を吸い込み、覚悟を決める。


 開いてみた二俣のメールには、「遼ちゃんの住所」と件名があり、東京の遼太郎の住所だけが記されていた。









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