Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



「いえ、私ももらった物ですから。…狩野さん、高校の時ラグビーやってたって聞いてたから、試合の価値が分かる人に行ってもらった方がいいし。」


 しかし、陽菜がそう言いながらニッコリと明るく笑うと、遼太郎よりも、側にいた佐山の方がその可愛らしい笑顔に見とれてしまう。


「いいじゃないか、遼太郎。せっかく『陽菜ちゃん』がくれるって言ってるんだから、好意を無駄にするなよ。」


 女の子に対して、特に可愛い子に対してソツのない佐山は、陽菜とはもうすでに〝ちゃん〟付けで呼ぶ仲らしい。

 それはともかく、佐山が口添えしてくれて、遼太郎はようやく素直にチケットを受け取ることができた。


「…ありがとう。」

「どういたしまして。」


 遼太郎が礼を言うと、陽菜の表情はいっそう輝いて、ニッコリとまぶしい笑顔を見せてくれる。

 その笑顔に、遼太郎の胸の底がトクンとざわめく。
 今日初めて、陽菜の顔をまじまじと見たのだが、陽菜の笑顔には可愛いだけではなく、遼太郎を落ち着かなくさせる何かがあった。


 のどから手が出るほどだったチケットなのに、何とも言いようのない〝心持ちの悪さ〟も、一緒に抱え込んでしまったような気分になった。


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