Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
遼太郎は辟易して、何も言わずに肩をすくめた。それを、陽菜は「いいよ」という意味に受け取り、向かいの席に腰かける。
「んー!生協の冷やし中華って、やっぱりおいしー♡」
麺をすすりながら陽菜が明るい声を上げると、思わず遼太郎はその食べている様子に目をやってしまった。
すると、陽菜も遼太郎に目を合わせ、ニッコリと笑顔を作った。
これが陽菜の〝計算〟ならば、遼太郎はまんまとその術中にはまってしまったことになるのだが、そんな陽菜の笑顔を見るたびに、いつも遼太郎は何とも言えない気持ちになった。
――……先生に似ているかも……。
夏合宿の海水浴の日、そう思い、陽菜を意識した。思い返せば、もっと前、明治神宮に行った時にも、陽菜を見てみのりがそこにいるように感じていた。
いずれにせよ、この思いに気が付いた時から、遼太郎の中で陽菜に対する感覚が変化していった。
――大学生の時の先生も、こんな感じだったのかな……?
陽菜を見ると、そんな思いがつい頭をもたげてくる。
陽菜が笑ったり、首を傾げたり、驚いたり…、何気ない仕草の中に、思わず〝みのり〟を探してしまう。
もちろんそのたびに、みのりとは似ても似つかないと思い知らされる。しかしその反面、思いも寄らない時に、みのりと同じ要素を感じ取ってしまうことも度々あった。