Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜




 それでも遼太郎は、暇を見つけては大学に足を運んで、課題として出されているレポートに取り組んだり、気になっていることを調べたりと、何もない日にもアパートでゆっくり過ごすことはなかった。


 こんな遼太郎の行動パターンを読んで、同じく大学によく顔を見せたのが、陽菜だった。

 メールなどで連絡を取り合ったりしているわけではないのに、彼女は遼太郎がいる場所に頻繁に現れた。遼太郎がいるのは図書館かゼミ室か…、勘のいい彼女は、大体の目星をつけて遼太郎を探しているらしかった。


 〝健気〟というべきか、〝しつこい〟というべきか。
 元々優しい性質の遼太郎は、そんな陽菜を、邪険にする言葉で無理やりに追い払うことはしなかった。それをいいことに、遼太郎からはほとんど相手にされていないにもかかわらず、陽菜はいつも遼太郎の側でニコニコと楽しそうにしていた。


「ここに座っていいですか?」


 ある時、陽菜が大学生協のランチルームで昼食を食べていた遼太郎に声をかけた。
 食べながら覗いていたスマホから、遼太郎が目を上げると、陽菜がテーブルの向かいの席を指し示している。

 ゼミ室にいた陽菜に気取られないよう、こっそりと生協にやって来たつもりだったのに、遼太郎は目の前に現れた陽菜に面食らった。どうやら陽菜には、敏感に察知するレーダーでも付いているようだ。


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