Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「………先生………。」
ただその一言が、無意識のうちに遼太郎の口からこぼれ出た。
お互いに視線を動かせず、それから何も言葉にならない。
だけど、そこに立って本を握りしめているのは、紛れもなく〝みのり〟その人――。
この2年半もの間、何度も何度も心に描いてきたその人を間違えるはずはない。
あんなに狭い芳野の街では一度も出会えなかったのに、こんなに大きな東京の中で出会えてしまうなんて……。
止まっていた二人の時間が、突然再び動き始めた……。