Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



 あの腕にもう一度、息ができないほど抱きしめてもらいたい。切ない声で『好きです』と囁いて、優しくて情熱的なキスをくれるのは、遼太郎しかいない。


 こうやって、固めた決意も一瞬の後には揺らいでしまい、思考は悶々と行ったり来たりを繰りかえして、みのりは眠れなかった。
 こんな状態では、朝になってもどこにも踏み出すことはできないだろう。現実に引き戻される朝になってしまうのが怖かった。


 だけど、刻々と時は流れていく。夜が白々と明けて、ほのかな光がカーテンの隙間から漏れて、とうとう朝が来る。その頃、泣き疲れたみのりは、ぼんやりと思った。


――もう一度、遼ちゃんに会いに行こう……。


 今はまだ、遼太郎に会いに行ける場所にいる。
 遠くからでいい、一目でいいから彼の姿を確かめて、この目に焼き付けておこう。この想いをそっと彼に届けて、彼のことはもう〝思い出〟という箱の中に閉じ込めてしまおう。

 決心が鈍るから、言葉は交わさない。ただ、遠くから一目だけ。それで、自分の中で〝けじめ〟をつけて、歩き出す方向を遼太郎のいない未来へ切り替えよう。


 思い立ったみのりは、ベッドからようやく身を起こし、シャワーを浴びに浴室へと向かった。


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