Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
まるでそこだけ時が止まったような、雑踏の中にあるこわばった陽菜の表情を思い出す。
きっと陽菜は衝撃を受け、傷ついているだろう。遼太郎はどうやってそんな陽菜を宥め、なんと言って説明するのだろう。
やっぱり大人である自分が、この事態を収拾するべきだったのでは……。
そう思ったみのりは、今すぐにでもあの駅に戻らなければならない衝動に駆られた。次に到着する駅で降りて、引き返そうと思った。
けれども、最後に見つめられた遼太郎の眼差しを思い出して、思い止まった。
今は、遼太郎のあの眼差しを信じるべきだと思った。きっと遼太郎ならば、たとえ陽菜が傷ついたとしてもそれが最小限になるように、最善を尽くしてくれる……。
みのりは電車に揺られながら、不安が渦巻く胸で、ただ遼太郎を想った。
目の前にはビルが立ち並ぶ東京の風景が流れていくけれども、頭の中にはずっと、立ちすくむ陽菜と振り返る遼太郎の像が映し出されていた。