Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「……遼ちゃんと別れた当初は、忘れよう、考えないようにしよう…って必死だったんだけど、切り離そうとすればするほど苦しくなるから、そう思わないようにしたの。そしたら…、空だけじゃない。桜が咲くのを見ても、葉っぱが色づくのを見ても、いつも遼ちゃんのことばかり思うようになってた。」
遼太郎の胸がいっそう苦しくなって、痛みを伴うほどになる。その甘い痛みに耐えるように、遼太郎はキュッと唇を噛んだ。
それは、いつも遼太郎が抱いていた感覚と同じだった。朝に起きた時も、夜に眠りに就くときも、遠く故郷にいるみのりに思いを馳せていた。側にいなくても、毎日頭の中のみのりを抱きしめて、「好きです」と囁いていた……。
今、目の前に、そのみのりは居てくれる。遼太郎はその腕を伸ばして、みのりを抱きしめてしまいたい衝動にかられた。
…でも、必死でその衝動を抑え込んだ。こんな二人きりの部屋の中で、みのりを抱きしめてしまうと、自分を止められなくなる。キスをして……、どうしてもその柔らかさに触れたくなってしまう。
触れてしまったら、その先はどうなるのか自分でも分からない。退院してきたばかりのみのりに対して、そんなことできるはずもない。