Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜

30 幸せの在処




 お互いのすべてをさらけ出して、繋がり合えた次の日。だと言うのに、遼太郎は目覚めた瞬間から自分を抑えられなかった。腕の中に、裸のみのりがいる。遼太郎のすべてを信じ切って、すべてを預けてくれている。その上、こんなにも安らかで可憐な寝顔を見せられたら、もう我慢ができなくなった。


 一方のみのりは、とても幸せな夢を見ていた。フワフワとした雲に包まれて、遼太郎に抱きしめられる。お互いに尽きることのないキスの雨を降らせて……、遼太郎の唇が首筋から胸元に滑り落ちたとき、みのりは覚醒した。

 いきなり始まっている遼太郎の愛撫が、夢の続きなのか現実なのか分からなくなる。


「は……?遼ちゃん……!?」


と、みのりが戸惑いの声をあげても、遼太郎はその行為をやめなかった。
 夢の余韻が残るみのりにも、すぐに甘い感覚が満ちてきて、遼太郎の行為を素直に受け入れた。起きてすぐの情熱的な愛撫に、みのりの意識は次第に夢の中と同じ雲間を漂い始める。

 雲を突き抜けて高みまで達し、遼太郎の力が抜けても、夢見心地からはなかなか覚めなくて、みのりは遼太郎の腕の中で幸せな感覚を味わった。


 けれども、時は刻々と過ぎていく。ゆっくりしていると、病院へ行く時間がなくなってしまう。


< 755 / 775 >

この作品をシェア

pagetop