Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



 体で繋がれることが全てではないが、昨晩想いを確かめ合えたことが、遼太郎の不安定だった気持ちを幾分落ち着かせていた。
 思いがけずみのりと一週間一緒にいられたことは、〝抱きたい〟とそれしか考えられなかった状態から、遼太郎を解放してくれた。



「空港まで送ってくれなくてもいいのに……。」


 空港までの電車の中で、みのりが遠慮がちにポツリとつぶやいた言葉が、遼太郎の耳をくすぐった。
 遼太郎の眼差しが優しく和んで、みのりの目を捉える。すると、みのりも自分の気持ちに嘘がつけなくなる。


「……でも、少しでも長く一緒にいられて、嬉しいな。」


 少しはにかんだ面持ちで、みのりが遼太郎を見つめ返した。その様子に、遼太郎は目眩どころか、もう卒倒しそうになった。
 遼太郎の惚れた目で見ているからかもしれないが、三十歳を過ぎてこんなに可愛いなんて、もう〝反則〟だと思ってしまう。こんなことを言われてしまうと、本当に帰したくなくなってくる。

 でも、現実はそうも言ってられない。仕事をしているみのりは、それなりの責任も背負っている。

 遼太郎は気持ちの行き場を探すように、みのりの手を取った。みのりもほのかに微笑みを浮かべて、その手を握り返す。


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