幼なじみの男子は無愛想。
 「おいっ!沢城!沢城!」

俺は声を掛け続けた。

持ってたカイロで温めてやりながら。

5分くらいしてからだった。

「ん・・・」

「沢城!大丈夫かっ!」

なんでここにいるの?って顔だな。

「沢城っ!俺がだれかわかるか?」

「すぎ・・・も・・と」

良かった。それは分かる見てえだな。

「なんで杉本がここにいるの?」

落ち着いてから聞かれた1言がこれだ。

これ・・・はじめっから説明した方がいいかな・・・。

それから俺はこうして沢城の前にいるいきさつを話した。

「そう・・・なんだ・・・。」

「おう。」

まだフラフラな状態なのにこいつはいきなり立とうとした。

「お、おいっ!?何してんだよ!」

「か・・・える。」

「このままじゃ無理だろっ!?」

「じゃあ!じゃあどうしたら・・・どうしたら・・・家に帰してくれる?」

え。

えっと。

「と、とりあえずこのまま休んでろ。」

そうして俺は着てたパーカーを沢城に着せた。

「いいよ。」

沢城は肩にかかった俺のパーカーを脱ごうとする。

「いいから。いいから今は掛けとけ。」

「・・・うん。」

それから沢城は

「あのさ・・・。そのままでいいから聞いてくんない?」

「おう。」

なんだろうと思いつつも俺は黙って聞こうと思った。

それがどれだけ辛い事かも知らずに・・・。

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