ぼくのことだけ見てなよ
「さて、と。椿姫。あの子たちのこと、どうするの?」
「………」

どうすると言われても、わたしだって、どうしたらいいのか、わからないよ…。

許したくないけど、なにか罰みたいのを与えるのは、したくないし…。

「まぁ、いいか」
「え…?」
「だって椿姫は、同じようなことしてほしくないんでしょ?」
「……うん。でも、許したくもない…」
「……ちょっと待ってて」
「え。美島っ」

そう言うと、美島は立ち上がると彼女たちの元へ歩いて行った。そして聞こえてきた言葉。

「ホントは、椿姫と同じ目にあってほしかったんだけど、椿姫がなにもするなって言うから。椿姫がそう言うから、ぼくはキミたちになにもしないよ。でも、今後一切、椿姫に悪さはしないで。誓える? 」

美島がそう言うと、彼女たちは黙って何度も首を縦に振った。きっと美島が言ったんだから、これからはなにもないはず…。

「キミたちの他にも仲間いたよね?ちゃんと伝えといてね。言葉で傷付けることも、ぼくは許さないから。もし、ぼくの耳に入ったら、その時は女子とか関係なく容赦しないから。わかったら、もう消えなよ。椿姫の視界にキミたちを入れたくないんだから」

美島…。怖いよ、怖すぎるよ…。5人とも、転びながら走ってったよ…。

でも美島のおかげで、きっと、なにもされないし、なにも言われることはないかな…。

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