ぼくのことだけ見てなよ
「あ!椿姫ちゃん、あったよ!同じクラスだっ!」
「え、ホントにっ!?」
「うん!ほらっ!」

那津は小さなカラダでピョンピョンと飛び跳ねながら、指を差す。

こんなこと、無意識にできる那津がうらやましい。

「じゃあ、新しいクラスに行きますかっ」
「うんっ!」

こうして、わたしと那津は〝2-F〟へと向かって歩き出した。

「どんなクラスかなぁ?」
「ねっ!」

那津と会話しながら、教室へ入ると、もう何人かの生徒たちが席に座ったり、談笑したりしていた。

黒板には生徒の名字が書いてあり、とりあえずの席なのか、一学期がこの席なのかは、わからないけど那津とは席が離れていた。

「椿姫ちゃん、席遠いね…」

それは那津も感じていたようで、悲しいのに嬉しくなった。

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