あまりにも猟奇的な少女たち
鈴子と鈴木くん
鈴子は”れいこ”と読む。 親がどういう意図でつけたのか、この名前でのエピソードが多すぎる。 ともだちは すずこ と あだなで呼ぶ。 自分でもそれが、自分の名前であると 確信している。 いつの頃からか、 鈴木とはつきあわないと決めていた。幼稚園のころから、「すずちゃん、すずきと結婚すれば すずきすずこだね、、、」 このギャグは聞き飽きている。すずこじゃないし、、、北海道旅行のおともだちからの お土産を 「すずこちゃんにすじこ買ってきたよ」の台詞つきで頂くことも もう お笑いでもなんでもなかった。 「わたしゃ、れいこだよ。」この違和感は すずこちゃんにはわかるまい。 高校入学の時 隣に座った男が鈴子の全てを変えていった。 一目で恋に落ちた その相手の名前が 鈴木鈴雄くんだ。 この子となら、 鈴木鈴子になってもいい。 妄想しすぎじゃない、この思い切りがないと 鈴木姓の人間とはつきあうなんて出来ないのだ。 五月になり生物の時間に 先生が 茶目っ気を見せた。 解剖にスズキを使うというのだ。季節じゃないし、高級魚であることも知っていた。 授業でもはずしまくりのオヤジギャグをただ云いたいがためだけに。 「鈴木くん、すずこさん 職員室まで 取りに来てください。。。」あたりだ。わざわざ、わたしを すずこ と呼びやがる。
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