溺愛ドクターは恋情を止められない

だから、あんなになついてるんだ。

ここは小児外科を掲げていないから、子供の大きな外科手術は少ない。
だけど、心臓は別。
小柴部長が、その道の権威だから。


「体の成長も遅れていて、あれで小三なんだ」

「小三!?」


幼稚園児にしか見えなかった。


「そう。ずっと友達とも係わってこなかったから、心も少し幼いかな」


そうだったんだ。
だけど、清春君はとてもかわいらしかった。


「でも、先生が助けた命が、輝いていましたね」


思わずそう漏らすと、高原先生は一瞬驚いたような顔をしてから、にっこりと微笑んだ。


「そうだな」


私より二十センチ以上背の高い先生は、その大きな手で私の頭にポンと触れてから、処置室に入って行く。

私、子供みたい。
だけど、胸がギュッと締め付けられるように苦しくなるのは、どうしてだろう。
< 130 / 414 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop