溺愛ドクターは恋情を止められない
高原先生は主に小柴部長に師事している。
心臓血管外科医を目指しているからだけど、その分野で第一人者の小柴部長のところには、難しい症例が集まってくる。
だから、オペは難しいことが多いらしい。
電話が切れると、しばらくベッドに座って考えていた。
高原先生は、本当に素敵な人。
もう少し、もう少しだけ甘えていてもいいだろうか。
いつか彼を忘れられる日が来るまで。
次に彼から電話が入ったのは五時間後のことだった。
『松浦、元気か?』
「はい。オペ、お疲れ様でした」
『うん。今までかかって、電話遅くなってごめんな』
謝る必要なんてない。
そもそも電話をくれるだけで、ありがたいのだから。
「大変なオペだったんですね」
『うん。だけど、この間はつまずいた血管縫合、かなりスピードが上がって、最後まで任せてもらえたよ』
「先生、すごい!」