【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
直近の予定を言えば、明日、その同伴接待が入っている。
大切なスポンサーとのディナーだ。
今までなら、この手の仕事は薫か美由紀に頼んでいたのだが、薫とは離婚した手前一緒に出歩くわけにもいかないし、美由紀の方は体調が優れないようで無理は言えない。
残るは茉莉しかいないが……。
しかし、茉莉を同伴してかしこまった食事の席で、円満に会話が弾む未来図がみじんも浮かんでこないのはなぜなんだ。
社長室のデスクでノートパソコンの画面を睨みながら「うーむ」と眉間にしわを寄せていたら、いつのまにか終業時間になっていたらしい。
コンコン、というドアのノック音で、俺はハッと我に返った。
「失礼しまーす!」
いつも通りに、仕事の疲れなど少しも感じさせない元気なあいさつとともに入ってくる守に続き、茉莉は入口でいったん足を止めてから、緊張した面持ちで室内へ入ってきた。
「失礼します……」
チラリと銀縁メガネ越しに視線を上げれば、目があった茉莉はダルマさんが転んだ状態で、身をこわばらせた。
「あれれん? ご機嫌ナナメですか社長?」
空気を読んだのか、読まないのか。
守は、こともなげにさらりと言ってのける。
この心臓の強さを茉莉に分けてやりたい。
俺は、ニコニコ笑顔全開の守にはちらりと視線を投げただけで何も言わずに、デスクの上で両手を組むと淡々と本題に入った。