【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
重力に引かれた体は、地面に向かって急加速しながら自由落下。
悲鳴を上げる暇もなく、このままいけば、顔面から硬いアスファルトにダイビング――
見るも無残な、人間大根おろし状態が一丁完成。
なんてことにさせるか!
俺は、猛ダッシュで落ちていく茉莉の身体をキャッチした。
ギリギリセーフ。
――やめてくれ。
本当に、寿命が縮まるから、やめてくれ。
「何をやっている?」
間一髪で事なきを得たことに心底安堵した俺が、抱え込んだままため息交じりに呟きを落とせば、茉莉は身体全体をピキリとこわばらせた。
だが、まだ自分の状況が呑み込めないのか、ぼうぜんとした様子で目を瞬かせている。
「……え?」
「え? じゃない。しっかり歩かないと、このまま抱いていくぞ?」
「ええっ!?」
満更冗談でもないような低い声音で耳元にささやけば、茉莉は慌てて後ろに飛び退くように俺の腕から身体を引きはがす。
瞬間、離れてしまった温もりを少し惜しい気がしたのは、たぶん気の迷いだろう。