【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】


「身重の妻がいる身でこんなところに出入りしているのが表ざたになって困るのは、あんたの方じゃないのか? 太陽銀行本店融資担当営業マンの高崎和彦さん」

祐一郎さんの言葉に、高崎さんは目に見えてうろたえた。

「な、なんでそれを……そうか、お前がしゃべったのかっ。なんて女だ個人情報をべらべらと!」

ギロリと、憎しみがこもった目を向けられても、身に覚えがない私には答えようがない。

――っていうか、なんで祐一郎さん、そんなこと知ってるの?

祐一郎さんと同棲を始めるとき私は、以前婚約者がいて婚約破棄されたことがあるって打ち明けはした。

私という人間を知って欲しかったから。

けど、その元婚約者が高崎さんだということも、銀行員だということも言ってない。

まして、相手が妊娠していることなど、間違っても口にしていない。

「茉莉は何もしゃべっちゃいない。融資担当のくせに、色ボケしすぎて俺の顔を覚えていないのか? とんだニワトリ頭だな」

「貴様のようなラブホテルの従業員の顔なんか、知るわけないだろう? 俺が担当しているのは、大手企業ばかりだからな」

馬鹿にしたように薄笑いを浮かべる高崎さんの言葉に気分を害したふうもなく、祐一郎さんは軽く肩をすくめてニヤリと笑った。

「それは残念だ。俺の会社も、俺の一族の会社も太陽銀行の営業利益にだいぶ貢献しているんだが。これはそろそろメインバンクを再考する時期にきたのかな?」

「俺の、会社……?」

「ああ、名乗るのが遅くなり申し訳ない。俺は、このホテルクロスポイントを営業している(株)FUDOUの代表取締役、不動祐一郎だ」


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