それでもやっぱり普通がいいっ!
○○な彼女


「……仲村はこれの背景と……それの仕上げ。
若草はホワイト!」


「お、おう!」


「わかりました!」


竜上の部屋。

ここは戦場だった。


締め切り日が2日も間違っていたので
猛スピードで終わらせる必要があった。



「……でも、若草さんがいてくれて助かったぁ……」


「えへへ……ならよかった! 私もやりたかったし」


若草さんには消しゴムかけや、ホワイト修正など比較的簡単なことをやってもらった。
でも、それがないだけでかなり助かる。


「口じゃなく手を動かせ」


竜上がペン入れしないといけないので、俺らの何倍も描いてるはずなのに
スピードと仕上がり具合を落とさないあたり、
さすが竜上……って感じだった。


「はいはい」


俺らのそれに負けないようにペンを動かした。



ーーーそこから、何時間たっただろうか。

突然竜上がペンを止めた。


「……若草はもう帰った方がいいんじゃないか」


「……? あ、本当だ!」


そう言われて時計を見てみるともう7時を過ぎていた。
いくら6月の初夏といえ、外を見てみると辺りは暗い。

さすがにこんな時間まで女の子を置いとく訳にはいかない。


「そうだね……でも……」


心配そうにする若草さん。


「大丈夫だよ。 若草さんが手伝ってくれたからすごく助かった
けっこう進んだし……なぁ?」


竜上の方を向く。
するともうペンを動かし始めていた。
俺の声に顔をあげる。


「あぁ」


「……」


途中で切り上げるのに納得のいっていない顔の若草さん。


「ほら、今日はもう遅いし……
あ、じゃあよかったら明日も手伝ってくれる?」


今日が金曜日だったので、明日はちょうど休みだった。

なかなか晴れない表情の若草さんだったけど、
その言葉で一気に明るくなる。


「えっ! いいの!?」


「うん。 むしろお願いしたいくらい」


「本当に? よかった!じゃあ明日また来るね♪」


そう言って嬉しそうに笑う。
ほんとに漫画好きなんだなぁ……と思った。


「ありがとう。 いいよな、竜上 」


一応竜上に聞いてみると、竜上は頷いた。


「もちろんだ。 仲村、もう遅いし駅まで送ってやれ」

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