それでもやっぱり普通がいいっ!


「おう。 そっちは大丈夫か?」


そう聞くと、竜上は漫画を描いてる時だけつけるメガネをクイッとあげた。


「ああ。 仲村がいなくても俺の力ならば……」


一瞬、ムカつくことを言われる。

しかし途中で言葉を止めて
竜上は少し難しい顔をした。


「……いや、うそだ」


しばらく黙ったあと、そう言う。


俺はその言葉に軽く笑った。

あの完璧人間な竜上に頼られるのは、悪い気がしない。
ちょっと厨二っぽく、上から目線で言われるのはムカつくけど。


「ふふんっ。 あ、じゃあ若草さん行こうか」


これ以上遅くなっちゃまずい、と若草さんの方を見ると
若草さんがビクッとする。

少し顔が赤いような……。


「若草さん……?」


「はっ! あ、か、帰りましょう!」


疲れちゃったかな?
いきなりなのに、かなりハードに作業させちゃったから。


「大丈夫?」


「ぜっ、全然全然!」


俯きかげの若草さんを心配して覗きこむと、
手と頭を元気よく振り回す。
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