それでも僕等は恋を繰り返す


「うん、明日ね、おやすみなさい」


電話を切ったあと深いため息が出たのは、


「よーし!それじゃあ行きますか。」

「お兄さんありがとうございます!夕顔!海なんて何年ぶりだろうね!楽しみ!」

「いやいや!可愛い夕顔のためなら車くらい出すさー。」


シスコンな兄がついてくるからではない。

ましてや結くんの助手席が嫌なわけでもないし、水着になるのが嫌なわけでもない。


「どーした夕顔?気分悪いのか?」

「…いや、大丈夫」


あたしは―――全く泳げないのだ。

昔カンナに散々泳げないのをいじられ、意地になったがために水中で足をつって余計に海が怖くなった。

別に海に入らなければいいのだが、それだとせっかく海に来たのに、なんだか損した気持ちにもなるという何ともめんどくさい性格なのがいけないんだけど。


「やーーーきたー!海~!!ちょ!夕顔!いい男いるかもよ!?」

椿はやたらテンション高くて、真逆なあたしは空返事しかできない。

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