それでも僕等は恋を繰り返す
いやだなあと思いながらも、足取り重く更衣室へと直行する。
しかし日差しが強い強い。とりあえず日焼けどめはちゃんと塗っておかなくては。
「うわー。やっぱ夕顔スタイルいいねー。ちょっと触らせて」
「だからやめてって言ってるでしょ椿!椿のがスタイルいいのに何言ってんの」
「あたしももうちょい胸ほしーなー。」
すらっと背の高い椿は本当になにを着ても似合う。
黒の水着がよく似合っている。
お揃いに…するんじゃなかった。なんだか辛い。
「さて、行きますか!」
「あ、椿まっ―――え!?」
更衣室から出て海まで一直線に走り出す椿を追いかけようとした時だった。
「僕の可愛い夕顔、そんな姿でどこに行くのかな??」
ガシっと掴まれた肩が異様に痛い。これは怒っている表れなんだろうと思う。いや、確実に。
「え?…そんな格好って…ちゃんと場所に合った服装だと思うんだけど…」
「んん?そんな裸同然の姿でこんな人が沢山いる場所に出すわけないだろう。ほら、これを着なさい」
笑っているけど笑っていない結くんに、黄色いパーカーを渡される。これを着ないと多分この手は離してくれないだろうと察したあたしは、言われるがまま着ることに。