タイム・シークレット・バンド
legend…

legend from 神谷優路/浅峰裕太

 モデルで小説家。
 そして、誰もが知っているあの超有名大学の学生。
 俺が思うに、人生勝ち組な部類に入る男は。

「なぁ、どうしてあいつはいなくなったんだと思う?」

はぁ、またそれかよ。
こいつは酒が入るとすぐこれだ。酒癖が悪い、泣き上戸。
 まぁ、そんな姿は俺以外には見せていないみたいだが。
 酔うとこんな感じなので、いつも早々にお酒の席を切り上げるイケメン君。
 きゃー、かっこいい。クールだとか。 
 そんな姿を女はどう誤解してるのか。間違った方向に株が上がってる。

 自分のグラスに残った酒を煽る。飲むのが早すぎたのか。氷がカラン、と音を立てた。
その氷を眺めながら、「さぁな」いつもの言葉で返した。

「おい、キヨ、聞いてるのか?」

「聞いてる聞いてる」そう言いながらもメニューに手を伸ばす。
もう耳にタコが出来るほど聞いてる、暗唱も出来る、ついでにこの後の台詞だって分かる。
行儀悪く机に顔をつけた我が悪友は、酔っ払い独特のジト目でこちらをしばらく見つめた後。

「なぁ、どうしてだよ・・・なんでいなくなったんだよ、あいつは。」

そう言って、ぐいっと酒を煽った。


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