僕の彼女はお化けです (序章)
恋と日常
(疲れた…)

「つまりここはこの式変形を…」

教師が喋る、書く、見る、書く…
淡々と書き込んでいくノートにはぎっしりと数式が書き込んである。
そのノートの上で交錯しあった数字を見続けているから、さっきから目が悲鳴をあげていたのだ。

(今日も怖いくらいの晴天だな)

僕はノートから目を離し、窓の向こうに見えるどこまでも続く海と、空にたそがれた。

ここは日本の本土から東南に遠く離れた小さな島にある、工業と漁業2つを専門にする日本でも珍しい形式の高等学校だ。
人口は約3800人と、過疎化に過疎化が進んだこの島だが、この専門高校はそこそこの学力を持ち、本土の専門学校に負けない程の就職、進学率を誇るから、本土から通う人も少なくないらしい。
寮などは付いていないので、本土生の通学は毎朝一本出る船に限られる。そこまでしてでもこの学校に来たい生徒がいるくらいだから、学力はそれ程の物と考えてもいいのかもしれない。

この学校に今年入学し、入った身としてそこまでの学力の実感はないのだが。

キーンコーンカーンコーン…

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