死んでもずっと友達だよ
「香澄はずいぶん熱心に授業を聞くのね。

香澄、あなたはどれほど自分の未来に期待してるの?」




私は背後から聞こえてきた夏希の声に、ドキリとして息が止まった。




私は背中に夏希の視線を感じたまま、振り返ることもできずに凍りついた。




「香澄、後ろに私がいることに気づいているんでしょ。

ねぇ、香澄。

振り返って、私を見てよ。

私の話を聞きなさいよ!」



私は背後にいるはずの夏希の存在に怯えて、震えていた。




夏希の声に振り返ってはならないという私の直感。




私が振り返り、夏希と目があってしまったならば、私はきっと夏希の憎しみを受け取り、呪われるに違いない。




〈 私は夏希に気づかぬフリをして、数学の授業を聞くの。

夏希の話に、私は耳を貸さない…… 〉
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