(気まぐれっぽい)Queen


「えっ」


思わず、萌花を抱き締めた。


ばたばたと訳が分からず暴れている萌花。更に抱き締める力を強くする。
困惑の表情をしている萌花。ああ、離したくない。


どんな表情の萌花も好き。あ、けど泣いてるのは勘弁ね。
どんなことをしていても好き。例えそれが悪いことであっても、俺は萌花の味方になる。



なあ、萌花。


俺はこんなにも萌花を想っている。それこそ、他の人には分からないほどに。


なあ、萌花。


「好きだ」


一瞬、萌花の動きが止まる。でも、その後すぐにクスクスと笑っている声がする。


「うん、私も。大好きだよー」


違う、違うんだよ。


多分、俺の『好き』と萌花の『好き』は違う。女としての『好き』と、幼馴染みとしての『好き』は、絶対に違うんだよ。



幼馴染み。


それは、その人に一番近い距離。誰もが憧れるかもしれない距離。けど、その距離は近いから。近すぎるから。


俺は嫌いだ。


だから俺は、たまに柊のことを羨ましく思う。俺もあの立場にいたら、萌花は俺のことを幼馴染みとしてじゃなく、『男』として見てくれるのかな…って。


「萌花、好きだ」


ぎゅっと、更に力を強める。


「うん?私もだよ」


近い。近過ぎるんだよ、この距離。




無性に誰かに慰めて欲しくなった、好きな女と2人きりの勉強会。


葵side _END_

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