(気まぐれっぽい)Queen

ガコンッ


ガコンッ


悠貴は久しぶりのボウリングに慣れてきたのか、ストライクを連発。


さすがに連発は無理だけど、負けないように、あたしもストライクを出した。


しかし、結果、悠貴と大差で負けてしまった。


「ったく、なんでそんなにできんのよ」


「えー?別に、普通にやっただけだよぉ」


非の打ち所がないその性格と容姿。もはや嫌味でしかない。


「次はゲームよ!ほら!」


「はいはーい」


悠貴の腕を引っ張って、ゲームの場所へ連れていく。


「で、美咲は何やりたいの?」


「そうねえ……」


悩む。最近はあまりゲームセンターに行っていない。忙しかったし。


「あ、悠貴!これは?」


あたしが指を指したのは、敵を銃で撃っていくというゲーム。


「はあ?……あぁ、そっか。美咲はそういう子だもんね」


呆れたように呟く悠貴。なによ、そういう子って。


「ふん。悠貴なんかこれでこてんぱんにしてやるんだから」



ルールは至って簡単。制限時間内にどちらが敵を多く倒せるか、だ。


こういうゲームは大好きなあたし。


銃を構える。


カウントダウンが始まる。ちなみに、2人で出来るゲームだ。誰が何体倒したか勝手に数えてくれるため便利だ。


『3、2、1』


狙いを定める。


『START』


「ダダダダダッ」


一気に撃つ。敵の急所だけを狙って。


え?悠貴の方はどうなってんだって?んなもん知らない。何もかも、考えるのをシャットアウトして、画面上の敵だけに集中する。


「ダダダダダッ」


『ヴガァァァア』


ボスみたいのが登場した。簡単には倒させてくれないみたい。


「チッ」


思わず舌打ちが出たのは、仕方がないことだと思う。


「ダダダダダッ、ダダダダダッ」


『ヴァァァァア』


あ、倒れた。


やっと終わったのか、と思いきや、また敵が現れた。しかも沢山。さっきのボスと同じぐらいの強さ。


「ダダダダダッ」


撃って撃って、撃ちまくった。


『ピーッ』


終了の合図が鳴った。今回はすごい倒せたと思う。


結果は、悠貴77体。あたしは125体。見事勝利した。


「悠貴、やったわ!勝ったわよ」


悠貴の方を向く。いつの間にかギャラリーがいた。全然気付かなかった。


若干、顔が青い人たちがいる。てか、ほとんどそうだ。


「……?どうしたのかしら」


「えーとね、美咲がとても凄かったんだよ。だから……ね?」


あたしが凄かったから、ってどういうこと?ちんぷんかんぷんだ。


「まあ、気にしなくていいよ。次やろぉ」


「へ?あ、うん」


そんなこんなで、色々なゲームをやった。ドラムの達人とか、UFOキャッチャーとか。どれもこれも、すごく楽しくて。


昔に戻ったみたいだった。


「ふう、沢山遊んだねぇ」


「うん、すっごく楽しかったやんけ!また遊ぼうな」


「…………」


悠貴の動きがピタリと止まった。そのまま俯く悠貴の顔をのぞき込む。


「おーい。どうしたん?」


びくりと肩を震わせた悠貴。
そっと、悠貴は顔を上げた。その表情(カオ)には、戸惑い、困惑、そんなものが混ざっていた。


「……みさ…き、…く、口調……」


その声は、とても掠れて震えていた。
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