あの日の雪を溶かすように
キモいぞ。私。

アリスがそんなことを考えていた時、ちょうど彼女の家の電話が鳴った。

    ♪プルルルルル… プルルルルル…♪


アリスの家には滅多に電話がかかってこない為、
すっかり珍しくなってしまった電話音が扉越しに小さく聞こえる。


だがアリスは急いで電話を取りに行くこともせず
しばらく外に電話がある扉の方を傍観してから、
静かにまっすぐ向き直した。
それから、体を沈めるようにしてアゴまでをお湯につけると、
鳴り続ける電話音と共に、小さく歌い始めた。
 
「…プルルルルル…♪…ルルルルル…♪」

電話が、やんだ。

それでも、アリスは声をほとんど聞き取れないほどに小さくして、歌い続けていた。

「…ルルル…ルルル♪」

途切れ途切れに、
ゆっくりと。


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