あの日の雪を溶かすように
「…うん…」
それとは逆に、アリスの声が、どんどんと小さくなる。

「……」


「…
先輩、泣いてるんすか…?」
葵が遠慮がちに尋ねた。


「いや、泣いてない。けど、なんか…あぁ〜…涙出そうかも。」
アリスが矛盾した答えを葵にかえした。笑いながら、そして、
声をもっともっと震わせながら。

「先輩…
…何か、あったんすか?それとも、まだどっか痛むんすか?」

「いや、なんだろ…
なんだろ、なんか、すごく…
…すご…く…」
アリスはひどく頼りなく震える声で言った。

「先輩…いやなことがあったんなら、泣いていいと思いますよ。
先輩は一人じゃないんす。
       
   何て言うか   …    私が、いますから。」


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