30分の待ち時間








「透子、幸せになれよ!
結婚、おめでとな!!」


「…ありがとうっ、太一くん!」





透子さんは涙を浮かべた瞳を細めて、満面の笑みを見せてくれた。



きっと会場の人たちや雷一さんを見る限り、太一は透子さんに告白したことを誰にも言っていなかったようだ。

だから会場の人たちも雷一さんも、不思議そうな顔で、太一と透子さんを見ている。




「太一くん。
そっちの方は彼女?」


「え?」




あたしを見た透子さんが会釈をしてきたので、あたしも返した。




「初めまして。
守屋(もりや)鈴といいます。

太一くんとは…友達、です」




彼女だって言ってホテルには入ったけど。

実際は彼女じゃないから。

友達ってことにしておいた。




「そうなの。
神庭…じゃなくて、光出透子です。

太一くんのこと、よろしくね」




にっこりあたしに笑って、透子さんは旦那様になる人の元へ戻って行く。





「…太一くんのこと、よろしくね……?」




はい?





「ちょっ、どういう意味ですか透子さん!
よろしくねってどういう意味ですか!?

あたし、太一の彼女じゃないんですけど!?」


「そうだよ透子!
よろしくねの意味、俺も知りてーよ!

俺はまだ独り身だぜ!?
透子にはこのちんちくりんがどう見えたんだ!?」


「ちんちくりん!?
酷くないその言い方は!

そっちの方がちんちくりんのお気楽でしょ!?」


「馬鹿に言われたくないね、馬鹿に!」


「何をぉー!?」





周りを気にせず始めた喧嘩に、会場は相変わらずしーんとした空気が流れていた。





あっ。

この会場入る前に、フロントで会った案内役のお兄さんに、「お静かに」って言われたんだ。

あたしたち、完全に守ってないね☆








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