好きで、言えなくて。でも、好きで。
「そう、だったんですか……。」



普段の姿からは、全く想像がつかない威叉奈の過去。


自分が知ってもいいことだったのか、と早乙女は思う。



「ああ。今からは想像つかねぇだろ?あれから15年か……」



あれから、威叉奈は高校を受験した。


賭狗膳に意味を見出だしたようで、警察官になって一緒に働きたい、と。



「やれば出来る奴なんだよなぁ。成績良かったしな。」



バイトをすると言った威叉奈をどうにか丸め込み、勉強に集中させたおかげだ。



「俺達が離婚する時だって言い出しにくくて散々悩んだのに、あっさり了承しやがって。」



賭狗膳の仕事が忙しくなり、同時期に取材が立て込んだ苗込とすれ違いが増えた。


ただ、威叉奈は2人にとって子供同然、悩みまくった。


しかし、威叉奈も無事公務員試験に合格し、賭狗膳と一緒に働いていたこともあって、勇気を出して話したのだ。



そうしたら、威叉奈はあっさり言ったのだ。



『2人がそれで幸せならいいよ。血が繋がって無くても家族なら、一緒に住んでなくても家族でしょ。』と。
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