好きで、言えなくて。でも、好きで。
「ど、どうしたんだ?」


「どうしたの?威叉奈、凄い勢いで出てったけど?」



「苗込………。いや、気にしなくていい。」



自分の行動に無意識な棟郷と、見舞いに来た苗込とが同じリアクション。


可愛いけど自分の知らない威叉奈の反応に、複雑な笑みを浮かべる賭狗膳だった。



「細脇。」


「なんだ、結構元気そうね。トクさん、電話口だと…」


「余計なこと言うな!」



「貴女が早乙女さんよね?私は細脇苗込。威叉奈から聞いているわ。お強いそうで。」


「あ…いえ。初めてまして、早乙女碧粉です。それほどでもないですよ。」



賭狗膳を無視して女同士話す早乙女と苗込は、初対面ながら話が合うようだ。



「無視するんじゃねーよ…」



除け者にされた子供のように、賭狗膳は拗ねた声を出す。



「あれだけ動けるなら、吹蜂、大丈夫そうだな。」



「お前もお前で、勝手に話進めるな…」



女性2人の様子をまるで意に介していない棟郷は、威叉奈の様子に安堵する。


賭狗膳はそんな棟郷に、溜め息をつきたくなった。
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