好きで、言えなくて。でも、好きで。
痛むのは、頭か胸か
「頭いったぁー」


「大丈夫?頭痛薬貰って来ようか?」


「へーき。ただの二日酔いだから。」



朝から覇気のない声を出す威叉奈に、珍しいと早乙女は心配する。



「お前、コップ2,3杯で酔うほど酒弱えーのに、なんで二日酔いになるんだよ。」



「そん時は、酔ってなかったんですよ。」



大体自分でもなんであんなに飲めたか分からないし、目が覚めたら自分の家で記憶ないし。


なんて。


賭狗膳の質問を軽く躱しながら思う。



何杯飲んでも酔わなかったのに、記憶はポッカリ抜けている。


飲み始める前から棟郷と何を話していたか、会話の内容さえ緊張であまり覚えていない。



それでも妙に心地好い、あの時の空気だけは覚えていて。



「やっぱ、薬貰ってきます。殴り込みとかなったらヤバイし。」


「ああ、そうしとけ。つーか、殴り込みじゃなくて、ガサ入れ、な。」



「………知ってますよ。わざとですよーだ。」



威叉奈の拗ねた様な声に、妙な間があったことは突っ込まないでやろうと、賭狗膳は親心に思った。
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