好きのカタチ
 それから私は急ぎ足で図書室に向かった



「遅い。」





「わぁぁぁっ‼ごめんなさいっ」



「心配したんだぜ?ったく………」


あっ嬉しい。心配してくれたんだ
私が一人でニヤけてると、



「どしたんだ?」



「いやっ!なんでもないっ」



あはは。我ながら恥ずかしいな。


「よしっじゃあせーのでテストだすよ?」



「まっ?俺今回は自信あるし?」



「はっ!ほざけっ‼私には勝てないぞ?」



「しゃっ‼じゃあ」






「「せぇーのぉッッッッッ‼」」




私 →98点
佐藤→97点



「よっしゃぁぁぁっ‼」
「クッソォォっっっ‼」


一点差とか超嬉しい。



「お前カンニングしたろっ‼」 


「してないよっ‼」


「ぐぬぬぬぬっっ」



私はあの時感じた、佐藤くんに対してのもやもやが嘘みたいだった。
 
楽しい。

私は素直にそう感じた。

「次っ‼次のテストではっ必ずっ‼」


両手をあわして頭を下げる佐藤くん。
可愛いかも………


「おーーいっ‼そこのデカ男。うるせぇよ
もうちょっと静かにしろよなぁ?」


いい加減、図書委員に注意され………

「「あぁッッッッッッッッ‼」」


あの時の…………確か河上とかいう……



「さくらちゃんじゃん?」


図書委員だったんだ…



無邪気そうに河上くんはこっちを向いて笑っていた。



何か隣の佐藤くんがイライラしてる⁉



「誰がデカ男だぁ⁉あぁ?」



「お前がデカ男だよーだ。図書室は合コンの二次会場でも、ラブホのロビーでも
ないんですよんっと。お分かり?」



「調子のってんじゃねぇよ?」



「此処は図書室です。大人しくしててください?」



彼はやや目を細めて八重歯を覗かせながら
クスクス笑っている。


めんどくさい。


「もう。いいじゃん。佐藤くん、ほっときなよ?」



私は少しあきれぎみに彼のセーターを引っ張った。


「……チッ………そうだな。」



聞き分けがいいな。珍しく。

河上くんは大人しく本を読んでいる。

「私、帰るね。部活頑張って。」




「あっ…………おぉ。じゃあな。」 




私は少し足早にその場を立ち去った。






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