好きのカタチ
 ある日の事だった。私はいつも通り放課後図書室に行った。 
河内くんと喋ろうと本を持って。



「今日?河内?休みだよ。」 




同じ図書委員の近藤くんが教えてくれた。





「なんでか、知らないけどね。」



「あいつ、一人で暮らしてるみたいだし」




「そう……なんだっ………」





知らなかった。なんにも。
一緒にいたのに、佐藤くんの事は知っていたのに。なんでだろう。
知らない。悔しかった。嫌だった。私なんにも、知らない。一緒にいたのに。
彼は何にも話してくれなかったから。




どうでもよかったのかな。



私なんて、気の合う友達だよね。
でも…………お見舞くらい…







というわけで、アパートの名前と住所を教えてもらいプリントを届けに行った。





「ピンポーン」




かなり緊張した。
やや時間が経ってから河内くんが鼻声で返事をした。



「あっ……河内くん?山下です。学校のプリント届けに来ました。」



「え?あぁ、ありがどヴ…てか、なんでざぐらぢゃんなの?(ズル)クラスぢがうよね?(ヘクシュっ)…………ごめん、今出る。」





凄い勢いで、くしゃみを連発してる。
たまに、ビシュっとか、ぶふっっていう謎のくしゃみが入るという不思議。



「ガチャッ」




ドアが開くと、ヨレヨレのTシャツにだぼだぼのジャージを着て、マスクと冷え⚫タというまさに風邪引きという河内くんが登場


「これ。プリント。先生がお大事にだそうで、あと、私からこの本オススメ。よかったら読んでみて。」




「おぉ。ザンキュー…………じゃ、また明日。多分いげるがら。」




いけなさそうだけどな。
まぁ、そういうなら。



「うん。また明日っ‼」




その日は私は帰りにアイスを買って帰った。




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