赤いりんごの青い果実
「……」
『……』
「ねえ」
『は、はははい!』
びびびっくりしたぁ
まさか話しかけられるなんて…
「俺、これからバイトなんだ」
『そ、そうな…んだ?』
「龍雅にプリント渡しといて」
そう言って、ピラっと
プリント一枚を私に差し出す
『…え!?』
「バイト帰りにあいつん家寄るの
面倒臭いし、それに遅くなるから
あ、これ龍雅の家への地図
簡略化はしてるけど多分分かる
駅から近いとこのアパートだし」
早口でまくし立てられ、
反論が出来ない
『…え、は、はぁ…』
「じゃあよろしく」
無表情でビシっと親指を立て
颯爽と帰っていく彼
『…ど、どうしよ…』
ていうかなんで私に?
仁摩さんから言われたときは
あんなに断っていたのに…
元々朽木君から私のこと、
多少なり聞いてたのかな?
でも朽木君って男子の友達、
多いだろうし…
他の男子に任せようかとも思った
でも、話しかけられる勇気もなくて
そもそも男子はほぼ全員、
部活に入っているから
もう教室になんて残ってないし
…いや!任された以上、
私が任務を全うしなければ!
待っててね朽木君!
今から私が行きます!