赤いりんごの青い果実
「でも案外近くにいるもんだよ」
『えー、ほ、本当に?』
「まじまじ。そんな子知ってるし」
『じ、じゃあその子のこと、
す、好きになった…んだ?』
「えっ!?い、いやぁ…
まだそこまでは…」
しどろもどろになって
ごにょごにょと言葉を濁している
タイプだけど、
好きにはなってないのかな
『ま、まぁタイプとは
ちが違う人を好きになるっていうのが
大体みたいだし…ね』
「ん?んー、そ、そうかもなあ」
プイ、とそっぽを向いた彼
…どうしたんだろうか
『そ、そろそろお粥…
出来たとお、思うから
持ってくる…ね』
「お、おぉ。お願い」
鍋を確認するために立ち上がる