二人一緒の夏


小さい頃はよかったな。

今では、日焼け止めや日傘がなければ外出したくない、なんて思わせるギラギラの太陽もバッチコイ!って感じだった。

少し歩いた先にある川にいっては、水遊びもしたし。
山に虫や木の実を採りにも行った。
蝉を捉まえてきては虫かごに入れるなんて、今では残酷と思えることを平気でやっていたっけ。

でも、一番好きだったのは神社かな。
正確には、神社の裏にある原っぱだ。

ほんの少し開けたその場所は、ぱっと見は丈の長い生い茂った草たちに守られるようにして姿を隠している。
けれど、その草を掻き分けた先には、小さな原っぱがあったんだ。

春にはシロツメクサが咲き、夏には原っぱの端の方にきいちごが実をつけて。
秋には猫じゃらしが風に揺れる。
冬は、そこで雪だるまを作って遊んだ。

汗をかいて走り回って疲れたら、コロンと大の字になって寝転がり、とっても高い青空を眺めていると、浮ぶ雲と一緒に浮遊しているような感覚を味わえて、それがとても心地よかった。

そして、そんな私の隣には、いつも裕樹がいた――――……。


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