漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
何でかね。
こんな時くらい、声を我慢しないで思い切り泣けばいいのに。
そいつの体にしがみついて、本当は離れたくなかったと伝えればいいのに。
でも、茉弘はそれをしない。
ただただ栗山の胸の中で、肩を震わせて必死に声を押し殺して泣くんだ。
その茉弘の背中には、大切な人が無事だったという"安堵"と同時に、"罪悪の念"を背負っているようだった。
「何で……来たのよ…?……みんなは?みんなは無事なの?」
栗山恭の胸を押し退けそう言う茉弘は、俯いていて表情は読み取れない。
「みんなは大丈夫です。茉弘が心配する事は何もありませんよ」
「……心配?……心配なんか……するわけない……。あたしは……あたしは鷹牙のスパイなんだよ?」
「……うん」
「あたしは……みんなを騙して……鷹牙に煌龍の情報を流そうとしてたんだよ?」
「……うん。知っていました。」
茉弘が「え?」と驚いて顔を上げる。
そうだよ茉弘。
そいつは、何もかも知っていたんだ。
何もかも──