漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】

栗山は、「核心はしてなかったけど。」と言って、申し訳なさそうに笑った。



「それなら、何でっ!!」



何で、茉弘を側に置いておいた?



茉弘を姫にした?



自分達を破滅に導くかも知れない存在を、


なぜ直ぐに突き放さなかった?




俺は栗山の胸ぐらに掴みかかっていた。



そんな俺の手をゆっくりと外しながら、栗山はハッキリと微笑んだ。




「理由なんてない。

"茉弘と居たかった。"ただ、それだけだよ」



そう言って栗山は、俺の背中をポンっとあやすように叩く。



その途端、俺の中になんとも言えない安心感が広がった。



思わず涙が出そうになって、鼻の奥がツンと痛かった。



「安心しな。お前の姉ちゃんは、俺が守ってやるから」



「……っ……。あんたってさ……自意識過剰なの?姉ちゃんは、あんた自体好きでも何でもないかもしれないんだぞ?ある日突然あんたを裏切って、逃げるかもしれない」



栗山は「確かにっ」と言って、すっとんきょうな顔をする。



こいつ本当は、頭悪いのか?

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