漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】


「それに、"聖也"って呼ぶなって言ってんでしょおがぁぁぁ!!!」


「ふ、ふびばべん(すみません)」


あたしは、聖也さんに思い切り両頬をつねられる。



「聖也。聖蘭のメンバーはもう集まってるのか?」


「集まってるわ。だから、あんた見付けて呼びに来たんじゃないの。」


「そうか。じゃあ、顔を出しに行く。
茉弘もおいで。」


「う、うん!」


前を行く恭。


それに、ついて行こうとするあたしを聖也さんが止める。



「……?」


驚いて振り返ると、気まずそうな顔で、何かを言いたそうに口をパクパクする聖也さん。


「あの……さ。」


「どうしました?」


あたしがキョトンとした顔で聖也さんの顔を覗き込むと、


「……かった……」


聖也さんの声は、周りの騒音に軽々と消されてしまう。


「ごめんなさい。良く聞き取れなかったんですが……」


そう正直に言うと、聖也さんは真っ赤になって、


「この間は悪かったって言ってんの!!」



と怒り出す。



へ!?


「こ、この間って……倉庫での……?」


「……そうよ。あたしが忠告しに行った時のこと。
言い過ぎたと思ってる……。」



なんで!?


こんな聖也さん調子狂う!
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