カタブツ上司に迫られまして。
そんな言葉は課長にも言われたな。

課長の言葉は、もっとぶっきら棒に言われたけれど。

私はどうも一人でなんでもしてしまう傾向にあるらしい。

そんなつもりは無かったし、それで何か問題になった事もないけど、今度の事でよく解ったと言うか……

一人でなんでもやろうとするって事は、端から見たら“可愛くない女”に簡単に繋がってしまう。

そうだなぁ。私から見ても、一人でテキパキと仕事をなんでもこなしてしまう女性を見ると、かっこいいなと思うけど、可愛いには繋がりにくい。

そういう事なんだって、ちょっと納得してしまった。

「ところで加代子。いい不動産屋さん知らない?」

「あー……うちが新居捜す時に、お世話になった所でいいなら、紹介するわよ」

もりもりランチを食べている加代子は元気いっぱい。

考える事がたくさん有りすぎるなー。

「うーん。やっぱり貯金切り崩すしかないかなぁ」

「え。由貴は保険とか入ってなかったの?」

「なんか法律とか賃貸の関係とか……色々と複雑で、あまり残らない感じかな」

加代子は顔をしかめて、それから頷いた。

「災難だったわね」

「まぁ、まだぼんやりしている感じかなぁ。実感がないのかも」

現実的には課長の実家に住んでいる自体が、もうすでに夢の中と言うか。

「そうか……なら、課長の実家にしばらく居座りなさいよ」

あまりと言えばあまりの言葉にキョトンとする。

「急いで探しても、良い物件なんて見つからないし、お金貯めてからにしちゃいなさいよ」

「でも、いつまでもお世話になっている訳にはいかない……」

「仕方がないわよ。敷金礼金を取らないマンションもあるけど、出るときに莫大な金額請求される場合もあるみたいよ?」

うーわー……それは嫌だなぁ。

「だから、腹くくっちゃえ」

逞しいな、加代子は。苦笑を返しながらランチを食べ終え、それから監査室に戻った。
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