瞬きの星

02

「それで。」
友人は携帯電話から目も上げずに、そう言い放った。(01)
「そんな事で、汗をかくほど必至にチャリ漕いで来たのか。」
「そうだよ。悪いけど、本当にびびるから。突然変なおっさんに怒鳴られたんだぞ。
「おかげで、朝からぐったりだ。」
「まあ、確かに怖いかも。姿が無いのに声だけはっきり聞こえてくるってのも、登園時間には早すぎるものね。」
「だよなー。」
彼女に目を合わせると、頷くようにして。手にしていたノートでこちらを扇いでくれた。
その風にいやされながら、黙る僕に友人は続けた。
「お前らなあ。
「どうせその車はそのおっさんの車で、後部座席に座った女の子の父親って事。それだけだろう。」

その冷淡な決断に不服そうに声をあげたのは彼女のほうで。
僕らは現実すぎる友人の前で、非現実らしい想像を二人で話して、騒ぎ合った。(02)
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